昨日、2月9日(日)の午後、垂水漁港内の神戸市水産会館で「水辺・たるみ交流会」を開催しました。本会は福田川を始め、垂水内外の川をフィールドに、河川環境再生や川を使った地域活動に取り組む団体による報告会です。2009年に第1回を開催。その後年々規模と参加団体が拡大し、今回は昨年を大きく上回る75名の参加者ありました。専門家だけでは無く、川に関心が深い市民や、地域活動に取り組む小中学校生などが、川の話題、海の話題、そして里山の話題と盛りだくさんのテーマで報告を行いました。会の後半には、久元神戸市長も参加され、お話を頂きました。
全体は2部構成で、第一部は基調講演と特別報告です。
■山と海のつながり~豊かな海と豊かな森、栄養塩と海の生物~
兵庫県漁業協同組合連合会 指導部 豊かな海作り担当課長 樋口和宏さん
■神戸市漁協の豊かな海作りに向けての取り組み
神戸市漁業協同組合 代表理事組合長 山田智昭さん
■福⽥川源流(落合池)落合中央公園の再⽣をめざして
落合池里山再生ネットワーク 事務局 横山克治さん
兵庫県漁連さんのお話では、淡路の西海岸、西宮浜、深江沿岸の全く違う海の色の写真が映し出され、透明できれいな淡路の西海岸の海は実は栄養塩が少なく、魚介類にとって厳しい環境であることが説明され、参加者は驚いていました。また、その後の質疑応答で、イカナゴ不漁の原因と、今後どうなるのか、という質問が会場から上がりました。獲りすぎの面もあるが、そもそもイカナゴが冷たい海を好む魚で、対照的に暖かい海を好むシラスの原料となるカタクチイワシの漁獲量は増えており、地球温暖化の影響が出ているのかもしれない、との説明は私も初めて聞く内容でした。
神戸市漁協さんからは、下水処理場の高度処理の度合いを神戸市と交渉して弱めてもらい、海の栄養が増えた結果、特産の海苔の色落ちが減ったという話、畑に肥料を入れるように海に栄養分を播いたり、漁船を使って海を耕して底土をかき混ぜて栄養分の循環を図り漁獲量が回復する工夫を行っている、とほとんどの参加者が初めて聞く漁師さんの活動に耳を傾けていました。
落合池里山再生ネットワークさんからは、落合池やその周りの落合中央公園を、名谷団地の魅力を高める起爆剤として多面的に改善する動きが、昨年ようやく地元から始まったとの報告が行われました。「上流に行けば行くほど水質が悪い」という福田川の特徴の原因が、水源の落合池にあることは間違いありません。落合池里山再生ネットワークさんの取り組みを、福田川流域の私達も見守り、応援したいと思います。また、落合池の環境改善に協力いただくよう、神戸市漁協さんもお誘いしたいと思います。
第二部は、福田川を始め、次の団体からの一年の活動報告です。出会い水路を育む会以外の団体は本会のレギュラー報告メンバーで、同窓会のような雰囲気の中、一年の活動の成果が報告されました。
■塩屋まちづくり推進会
■れいんぼう☆キッズ
■名谷SRほのぼの会
■兵庫県立星陵高等学校
■出会い水路を育む会(神戸市西区)
■福田川クリーンクラブ
塩屋まちづくり推進会からは、三面コンクリート張りの水が少なく狭い川を環境の課題として捉えるのでは無く、その環境を子ども達がありのままに受け入れて面白がっているのが良い、との新鮮な視点の報告がありました。
れいんぼう☆キッズさんは、福田川だけでは無く垂水区内外の街角、自然環境に出かけていって子どもたち自身が地域貢献について考えて行動する様子が報告され、参加者から大きな共感を得ていました。
名谷SRほのぼの会さんからは、神戸市によって作られ地域住民の散歩道となっている福田川プロムナードが、放っておくと草ぼうぼうになるのを防ぐために、地域の有志が頑張っておられる様子が報告されました。
星陵高等学校生物科学部の報告では、地道なベニトンボの生息状況調査の他に、昔、垂水では当り前のように見られた赤とんぼ(正式名称:アキアカネ)が激減しているとの話があり、ここにも地球温暖化の影響が出ているのかもしれない、と考えさせられました。
出会い水路を育む会は今回、西区から初参加です。明石川から水を引き込んだ玉津の「出会い水路」やその周りの広大な芝生の原っぱの復活作戦や、市街化区域にあって市民も参加する農業を持続発展させようとしている地域の取り組みが報告されました。出会い水路の空間は、福田川からするとうらやましい限りの環境で、私も地域の行事の際には一度訪れてみたい、と思いました。
福田川クリーンクラブからは、クリーン活動の他に、環境保全と川を活用した地域交流活動として、8つのテーマで多彩な活動を行っていることを報告しました。(ブログ『20250114 楽しい地域交流活動から、生物調査まで多様な活動に取り組みました「2024年の福田川クリーンクラブの活動」を公開します』に沿った内容です)
一連の団体報告の後、久元神戸市長がご挨拶されました。団体が年々、それぞれの活動を進化させていることをお褒めいただきました。非常に勇気づけられます。同時に、次世代の子ども達や神戸ならではのCSRに取り組む企業を巻き込む重要性を、改めてご指摘いただきました。
川や地域を良くしていくのは、一部の団体の活動だけでは無く、広く意識が高い地域の市民や企業従業員、そして若い児童生徒のボランティアです。私達も、さらに繋がりを求めて行きたいものです。
本会終了後、同じ神戸市立水産会館内にあり、いつも行列が絶えない「垂水漁港食堂」に場所を移動。関衆議院議員の乾杯の発声の後、講演者・発表者とクラブや関係者が、漁港食堂自慢の魚料理を頂き、酒を酌み交わしながら、互いの活動情報交換や、今後の取り組みについて熱く語りあいました。こちらの方がまさしく「交流会」かも知れません。
本会は、来年もまた開催し、それぞれの団体の活動成果を共有し、市民活動の輪を拡げて行きたいと思います。
なお、講演・発表資料は、福田川クリーンクラブの資料室から自由にダウンロード頂けます。また、本会の模様は、神戸市公式noteでも「神戸・垂水のソウルリバー、福田川のことを知っていますか?」としていち早くリポートされています。こちらの方も、ぜひご覧下さい。