2016年5月23日月曜日

21日(土)、22日(日)に今年度最初の「福田川生物多様性確保プロジェクト」調査を行いました


2日目・落合池での調査メンバー集合写真

福田川クリーンクラブでは、2年前から、福田川をフィールドに環境保全に取り組む団体、学識経験者、学校関係者、そしてボーイスカウトの皆さんに呼びかけて「福田川生物多様性確保プロジェクト」の活動を行っています。今年度の最初の調査を、この土日の二日間に行いました。

福田川でも外来種が徐々に幅を利かすようになってきています。中下流では、アカミミガメはもちろんのこと、近年、ヌートリアの姿が目撃され、川の周辺の住宅街ではアライグマも度々目撃されるようになってきています。植物も同様です。プロジェクトは、在来種を適切に保護し、外来種を管理駆除することを最終的な目的として活動しています。今回、その活動を強力に支援していただける先生として、和亀の保護とアカミミガメをはじめとする外来種のカメの駆除で活躍しておられる「和亀保護の会」会長の西堀さんのご支援を頂くことができました。

今回はまた、初めて、落合池の中央部分に近いところまで歩いて到達しました!

その調査の様子と結果を、簡単にご紹介します。(水質につきましては、検査結果と評価がまとまり次第、後日、お知らせします)

■一日目の調査:福田小学校前、下流・汽水域

・天候と気温:晴れ 18/26度
・調査内容と結果:
 昨年までの調査地点のうち「名谷あじさい公園」を今年度から「福田小学校前」に変更。より多くの魚類が見かけられることと、ヌートリア、アカミミガメも見かけられることが変更の理由。
 朝7時過ぎ以降に、魚用/カメ用のもんどりをそれぞれ次のように仕掛け。
  - 福田小学校前:6個/2個
  - 下流・汽水域:4個/2個

  もんどりのえさは、ブリのアラ

福田小前での早朝の仕掛けの様子


 10時過ぎから、福田小学校前で引上げ調査。コンディションと結果は次の通り。
   白いあぶくが絵の具を垂らしたように水面をカバー。透明度悪し。
   アカミミガメの親亀、子亀をそれぞれ1匹ずつ目視したが、もんどりには掛からず。
   魚類用のもんどりのも掛からず。付近では、コイの姿を目視。
   川原では、シナサワグルミが繁茂し、イタチハギ、ナンキンハゼも確認。
   昼顔がピンク色の花を咲かせていた。

アカミミガメ

ミゾソバ

ヒルガオ

ヨモギ

クログワイ(葉は柔らかい円筒)


 11時30分頃から、下流・汽水域で引上げ調査
   白いあぶくはほとんど見られず、透明度も良好。
   当日は大潮で、仕掛けの時刻(7時30分頃)は満潮近くであったが、調査時刻には
   潮が引き、川底の岩が見える状態。
   カメは目視できず。仕掛けの時刻には、大きなボラの群れ、クサフグ、スズキなどが
   見られたが、引上げ時刻には、大量の小魚のみ。カメは目視できず。
   カメ用のもんどりは、掛からず。
   魚類用のもんどりに、体長7センチの大型のモクズガニ、スズキの赤ちゃん、
   スジエビが掛かる。

甲羅の幅7センチの巨大なモクズガニ

スジエビとスズキの赤ちゃん
調査メンバー

■2日目の調査:源流・落合池、支流・小川

・天候と気温:晴れ 18/26度
・調査内容と結果:
  昨年まで落合池では、北側の小池のみで生き物調査を行っていたが、今年3月に本池にいたる作業用道路が完成したのを機に、本池でも調査を実施。
  朝7時過ぎ以降に、魚用/カメ用のもんどりそれぞれ次のように仕掛け

  - 落合池・北側の小池:2個/6個
   (夏頃はどす黒く濁るが、当日は深さ1メートルほどの底が見えるほど、透明度
    は良好)
  - 落合池・本池:4個/4個
   (今回、初めて池の中央部に近い部分に足を踏み入れ。ヘドロに足をすくわれる
    所もあるが、膝上60センチぐらいの深さで、安定した砂地もあり、意外な感じ)
  - 支流・小川:5個/2個

  えさは、落合池では黒鯛(スズキ)のアラ。小川では、アラ及びするめ、ちくわ


朝の仕掛けのメンバー
早朝の仕掛けの様子(落合池・本池)


 10時過ぎから、落合池で引上げ調査。
  本池では、ヒシが繁茂している場所に掛けたところ、3歳オスのクサガメ1頭を捕獲。
  また、フナ、ヨシノボリも捕獲。アカミミガメは目視も捕獲も無し。
  魚影は目視できず。ヘドロのメタンの匂い。ゴム底で歩くと、水の底からガスが
  わき上がる状態。福田川の水質悪化の主たる原因と考えられる取水口付近は
  どす黒く水面が濁り、ゴミが堆積した状態。
  北側の小池では、夏・秋の調査では大量のヨシノボリ、モツゴが掛かるのだが、
  今回は、ほとんど掛からず。斜面では、残すべき植物が健在なことを確認。


ヨシノボリとフナ

3歳オスのクサガメ

ヌートリアのミイラ
ヘドロとゴミが堆積した福田川取水口
最悪の水質を今回も記録更新した竜が台からの流入路
落合池・北側の小池の調査風景


 13時30分頃から、小川で引上げ調査。
  上流の貸し農園などでまだ、肥料が大量にまかれていないからか、あぶくはほとんど
  なく、透明度も良好。
  大量のヨシノボリに混じって、スルメに引き寄せられたのか、大小3匹のザリガニを
  捕獲。夏・秋の調査では、ヨシノボリや大量のヌマエビが捕獲できるが、今回0。
  ガサガサで、待望のマドジョウの子どもを捕獲。
  小川の調査では、絶滅危惧種のカワガキと遭遇。近くの小中学校の生徒とのことで、
  次回調査には誘いたい。


小川でのもんどり回収の様子
小川の調査地点
イタチハギ(要注意外来生物
カワムツとヤゴ
絶滅危惧種のカワガキと遭遇


カメの仕掛け(カゴの位置、向き、深さなど)、捕獲、見分け方につきましては、西堀さんから貴重なアドバイスを頂きました。今後、アカミミガメ捕獲の賞金稼ぎに、私たちも参戦できそうです。

なお、捕獲しましたマドジョウの子どもは、わが家の水槽で、元気に泳ぎ回っています。面白いことに、以前からの住人の2匹のカワヨシノボリが、水槽の中で毎日、激しくなわばり争いをしていましたが、マドジョウがやって来てからは、近くに寄り添う姿が見られるようになってきています。身体の大きさでは、カワヨシノボリが勝っているのですが、魚の世界の力関係は、良く分かりません。


2016年5月15日日曜日

今年度も須磨海浜水族園の「スマスイ自然環境保全助成」を頂けることになりました


今年度も、神戸市立須磨海浜水族園の「スマスイ自然環境保全助成」を頂けることになり、本日、その授与式に出席しました。

冒頭、亀崎前園長から次のような挨拶がありました。

「特に、近年の日本における淡水の動植物の生息環境の破壊ぶりは、半端ではない。しかし、『昔は、どこそこのため池に何々がいた、川には何々がいた』という伝承があっても、現在の様子と科学的に対比する記録がほとんど何も残っていない。自然環境を、しっかりと見て、記録して欲しい」

また、亀崎さんが駆け出しの研究者の時代に、篤志家からの貴重な援助金を頂き、それが今日までの研究活動に繋がるお金になった。その篤志家の志を、須磨水族園として、市民の研究者にも伝えたい、とのお話もありました。

さらに、通知書授与の際には、「どのように福田川で生物多様性を確保するのか、聴かせて欲しい」との依頼がありました。助成金を受けての活動は3年目を迎えます。単に記録するだけではなく、具体的な行動の成果が問われているのだと、理解しました。

福田川クリーンクラブでは、ボーイスカウトさんなどと連携して、今年度も引き続き「豊かな自然環境が残る都市河川福田川水系の生物多様性確保の取り組み」と題して、活動に取り組みます。さっそく、今週末21日(土)、22日(日)には源流・名谷落合池、支流・小川、中流・福田小学校前および下流域の4箇所で、魚介類をはじめ、植生、水質、土木の多方面の調査を行います。今回は、専門家のご支援で特定外来生物の駆除に向けて、カメの捕獲を試みます。中年のおじさんが童心に返って、川の水に胸まで浸かりながら、網やカゴを持って、ジャブジャブやっている様子を、ご紹介出来るのではないかと思います。このブログをお読みの皆様でも、福田川の生きものを間近に観察してみたい、と思われる方がおられましたら、遠慮無しにクラブの事務局までご連絡ください。

調査結果は、報告会などを通して、福田川に関わる様々な皆様に、情報として地域社会にお返しし、今後の福田川の環境改善に向けて議論を行う材料としたいと思います。皆様のご理解、ご支援をお願いします。

授与式が終わってからは、水族園の中にこの3月に新しくできた、まちの河川の下流から上流までを再現した水そうなどの施設を見て回りました。それぞれの区域で暮らす魚やその生息環境のモデルを間近に見られて、とても勉強になりました。図鑑で見るのとは大違いです。今後の、私たちの生き物調査を行うのも参考になります。










2016年5月10日火曜日

福田川にもいます、ニホンウナギ!

ウナギの稚魚(福田川中流域で)

 今日の各紙夕刊で、「絶滅の恐れのあるニホンウナギの生息数を回復させようと、環境省は河川の環境改善に向けた保全指針を策定する方針を決めた」との記事が掲載されています。嬉しい知らせです。

■読売新聞
ニホンウナギに「優しい川」を…保全指針策定へ
http://www.yomiuri.co.jp/eco/20160509-OYT1T50066.html


■日本経済新聞
ウナギ守る河川指針策定 環境省、17年3月公表めざす

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG09H9K_Q6A510C1000000/

二面コンクリート張りながら、川底に岩や砂が残り、川べりには草木が茂っているところもある福田川にも、実はウナギがいます。これまでの生き物調査でも、毎回のように確認されています。これからの季節には、仕掛けをしてウナギをかっさらっていく人も、いるようです。

さらに水質を向上させ、隠れ場所を絶やさないようにして、貴重なウナギの生息場所をこれからも、守り育てていきたいものです。

2016年5月3日火曜日

今年も福田川にたくさんのこいのぼりが掛かりました

瑞穂公園前


福田川流域のふれあいのまち作り協議会の皆さんや小学校の児童生徒さんが、こどもの日に合わせて、毎年、福田川にたくさんのこいのぼりを掛けています。福田川クリーンクラブでは、そのお手伝いをしています。今年も、下流の瑞穂公園の前や中流の福田小学校の前、そして上流の名谷小学校前の各所で、にぎやかに飾り付けることができました。お近くの方は、ぜひ、見にいらして下さい。

こいのぼりには、「川をきれいにしよう」「生きものたくさん暮らせる福田川にしよう」といった、子どもたちの願いが書き込まれています。お父さん、お母さんたちも、早くそんな川になって欲しいと、願っています。

瑞穂公園前

名谷小学校前

福田小学校前