そして、安全に川を観察しながら川下りを楽しむのには、どこに注意を払い、改善を提案する必要があるのか、川の中から確認して、貴重な体験をしました。
参加メンバーは、朝8時に、上流・賀一交差点から少し下った、柚耶の里付近のスロープに集合。メンバーは、川の中を行く男性9名と、川の横の道路からメンバーを支援し、記録写真を撮る女性メンバー2名の合計11名。ラフティングの経験者や河川工学や植生の専門家、地元のヘビや植物に詳しいメンバーなど、多彩です。ペットボトルボートを背負い、川下りを楽しんで見ようという猛者もいます。ラフティング用のヘルメットと救命胴衣を着用し、競技の経験者でもあるメンバーから川下りの注意事項の説明を受けた後、出発。
台風の後でまだ水が多く、濁って底が良く見えない川の中を、時に腰まで水に浸かりながら、下っていきました。
途中、自然石が露出した川の岩を観察したり、何カ所もある堰をやり過したりして、2時間ほど掛けて、コースの中間のあじさい公園にたどり着きました。川横の道路を歩いて行けば、40分ほどで行ける長さです。
その先の中流域の名谷町交差点からコープ福田店に掛けての場所は、狭い川筋が一層掘り込まれており、川の両側に高水敷も無く、一番の難所でした。
先頭を行くラフティング経験者は涼しい顔でしたが、残りの私をはじめとするメンバーは、玉の汗をかきながら、川の中の足元を確かめ、川のヘリに繁った薮をかき分けながら、高水敷の丘に上がれるコープ福田店付近を目指しました。
ここから先は、それまでの濁った水が一転して水温が低く、きれいな水が流れていることを実感しました。豊富なわき水のおかげです。
川底が深いところが散在しているため、川の左右の岸に設けられた高水敷を行かねばなりません。草木がジャングルのように覆い尽くしていたり、水面から2、3メートルの高さの高水敷を、シナサワグルミや野ばらが通せんぼして、行く手を阻んだりしているところもあり、通り抜けるのに苦労しました。
ゴールは川原橋のビオトープ。時刻はちょうど12時。出発してから4時間が経っていました。ビオトープは、先日の台風の大水で、メダカや生き物がくらすのどかな風景が、一変していました。あらためて、境界石の敷き直しなどの修復を行う予定です。
今回、川の中を歩いてみた結果は、専門的な観点から報告にまとめていく予定ですが、次のことも分かりました。
・川岸はどこも切り立ったコンクリートで被われており、川と街が隔絶されている
・川の中を行くのには、足元が定かで無かったりえぐれていて、危ないところが少なくない
・主要な堰の手前や高水敷が途切れるところには、川の上に上がれるタラップが整備されているが、ぐらついていたり、タラップが抜け落ちているところもある
・ジャングル状態の草木には、たくさんのゴミが掛り、投棄ゴミも埋れていたりして、美観上も好ましくない
・一方、カワセミが営巣するような自然環境も残されている
・川の中流域からは、わき水が川に注ぎ込み、魚が泳ぐ姿も、間近に見られるようになる